緑内障専門外来
緑内障(緑内障の説明についてはQ&Aページを参照)は視神経が障害されて、視野を失っていく病気で、さまざまな治療薬が研究・開発されてきましたが、それでも本邦での中途失明原因の第一位の疾患です。
“緑内障”とひとまとめで述べられることが多いのですが、実は「原発緑内障(原発開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障、混合緑内障が含まれます)」、「続発緑内障」、「小児緑内障」に大別され、さらに細かい原因まで含めると数十種類にも及びます。緑内障は、その種類により進行するスピードも発症年齢も違いがあります。一方、よく似ているけれども実は違う疾患だったということもあり、非常に診断が難しい場合もあります。緑内障で障害されて狭くなった視野は元には戻すことが出来ないため、正確な診断が重要になります。
同じ種類の緑内障であっても、残っている視機能(視野の広さ)や眼圧の値によって治療方針が変わります。また、一生涯付き合っていく疾患になりますので、年齢(寿命)やライフスタイル、クリニックへの通院のしやすさ、家族のサポートの有無など、多くの患者さん自身のファクターも考慮しなければなりません。緑内障の治療は、点眼を主体にした眼圧を下げる治療ですが、場合によってはレーザー治療や手術(当院では日帰り緑内障手術を行っています)を組み合わせた治療を行います。治療変更のタイミングや手術への踏み切るかどうかの判断には多くの知識と経験が必要です。
当院では緑内障診断・治療に精通した緑内障専門医による診療を行っております。緑内障は、生涯向き合っていく必要がある疾患です。かかりつけ眼科医がいない緑内障の方、緑内障が心配な方、緑内障疑いと健診で指摘された方など、お気軽にお問い合わせください。
現在およそ2,300人の緑内障の方が当院に通院されていらっしゃいます。一緒に手を携えて治療を行って行きませんか。(岩尾(圭)院長の月曜・水曜午後の緑内障専門外来は予約が必要です。受診希望の際は事前にお電話でのご相談をお願いします。)
網膜(黄斑)疾患
網膜とは光を感じる眼内の神経組織で、その中でも“黄斑”と呼ばれる部分は視力を司る重要な場所です。この部位の疾患である糖尿病や網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫(むくみ)、加齢黄斑変性、近視性脈絡膜新生血管などでは、強い視力障害を残すことが多く、近年まで治療も困難でした。しかし、抗VEGF(血管内皮増殖因子)阻害薬が開発され、視力の維持・改善が期待できるようになってきました。
当院では、田原副院長が主に専門的に担当しております。最新バージョンの光干渉断層計 (Optical Coherence Tomography, OCT)やOCT血管撮影 (OCT angiography)を用いたり、熊本大学眼科網膜専門外来や熊本市民病院眼科と連携をとり、正確な診断と的確な治療方針を提供いたします。抗VEGF治療が必要な場合、わざわざ大学病院などの中核病院まで治療のため通院せずとも、ほとんどの方は当院での通院注射でカバーしており、2021年は170例の治療数を誇ります。
網膜剥離や黄斑円孔などの手術治療が必要な緊急性のある網膜疾患の場合は、専門施設と緊密に連絡し合い、スムーズに手術に移行できるよう体制を整えております。また、手術後は定期経過観察も担当します。
日帰り白内障手術
近年の医療技術と手術機器の大幅な進歩により、入院することなく「日帰り」での白内障手術が可能になりました。超音波白内障手術法は、白く濁った水晶体の核を砕きながら同時に吸引するという技術です。さらに取り除いた水晶体の代わりの役割を担う「眼内レンズ」の開発進歩により「極小切開創」での手術が可能になり、患者さんの負担が少なくなりました。
手術時間は、通常10~15分程度です。麻酔も点眼による麻酔ですので、注射による痛みもありません。(進行した白内障や合併症がある場合は多少時間が長くなったり、手術方法が変わる場合もあります。)
執刀する岩尾院長と田原副院長は、大学病院や基幹病院に勤務し多くの手術を担当してきた経験から、手術が難しい症例や複雑な手技を要する手術にも精通しています。また、当院では先進の白内障手術装置センチュリオン® ビジョンシステム (アルコン社)をいち早く導入しているほか、乱視が強い方には「乱視矯正用眼内レンズ」を積極的に使用しクオリティの高い術後の視機能を目指しております。また、適応には条件がありますが、「多焦点眼内レンズ」を用いる手術にも対応しており、保険適応内での選択が可能な分節型多焦点眼内レンズ“レンティス・コンフォート®”を取り扱っています。また、疾患によっては焦点深度が深くデザインされている(ピントがある幅が広い) “テクニス・アイハンス®”を選択します。
加えて、緑内障の方には低侵襲緑内障手術(MIGS)を併施したり、将来行う可能性のある緑内障手術への影響を最小限に抑える手術アプローチをとるなど、プラスαの白内障手術に取り組んでいます。
日帰り緑内障手術
緑内障手術は、薬物治療では十分な眼圧下降効果が得られない患者さんに対して行われます。
様々な手術方法がありますが、当院では緑内障の状態に応じて①濾過手術(MMC併用トラベクレクトミー、ExPRESS®シャント手術)、②流出路再建手術(眼内トラベクロトミー、隅角癒着解離術など)、③眼内ドレーン挿入術、④周辺虹彩切除術などを施行します。
また、最近話題となっている低侵襲緑内障手術(minimally invasive glaucoma surgery: MIGS)にも積極的に取り組んでおります。低侵襲緑内障手術は小さな切開にも関わらず、眼圧を下げる効果や緑内障点眼数を大幅に減らすことが期待できる手術で、当院では広範囲マイクロフック・トラベクロトミーやiStent inject®W (アイ・ステント/グラウコス社)を用いたドレーン手術などを施行しており、特にこだわって行っている手術です。熊本県内でiStent手術に積極的に取り組んでいる認定施設は当院と熊本大学病院です(施設一覧 – Glaukos 2022年3月時点)。健軍桜木眼科は九州圏内の眼科クリニックではもっとも多くの手術に取り組んでおり、くわえて大きな病院のように入院の必要もなく、日帰り手術で行うことができます。
麻酔は目だけの局所麻酔で行いますが、ほとんど痛みはなく、全身への負担もありません。特に最初の1~2週間は眼圧を安定させるため細やかな診察が必要ですから、こまめな通院が可能で自宅での安静が保てる方に限られますが、日帰りでの手術が可能となっています。